【民衆英雄】
〈手先の早業〉〈歴史〉
よろず修理屋道具
陸の乗り物

年齢は幼いが、大人並みの知性を持っている。
子ども扱いされるとキレる。
が、無暗に他人を傷つけることはしたくないため、拳のやり場が見つからず震えるだけ。
「だから、子供扱いすんなって言ってんだろ！？」
「おんまえ……この旅が終わったら覚えとけよ！」

無知は悪。獣だろうと、知性を軽んじる勿れ。
己がつけた知識を持って世界を見、己の世界を創造することが生きるということだ。
感覚などというものは無い。全ては経験と知識の積集合だ。

　

子ども扱いされること
お前には無理だと決めつけられること
理由なく他者を傷つけることができない

―――――【外見】―――――
幼い。
同歳のシフターと比べても幼い。し、ちっこい。
幼さを誤魔化す(？)ため、防具の上から大人用の衣類を着ているが余計子供っぽく見えていることに本人は気付いていない。
口喧嘩をすると大きな牙が見える。
立派な自爪もあるが、戦闘ではつけ爪を使う。これは彼なりのけじめである。

―――――【経歴】―――――
『小さな集落は、小さな狼男によって救われた。』
その集落は、ほんの十数人のシフターで構成された、村とも呼べないようなものだった。
若者は栄えた街へ出ていってしまうため、子供と老人ばかりが森の中でひっそりと暮らしている。

静かな森には様々な種族がそれぞれ生息し、リクの知識欲は彼を異種族との交流に結び付けた。
中でもエルフ族とは良好な関係を築き、彼らの言葉、そして彼らが伝える危険な種族の言葉を習得した。

自らは獣だからと学ばない同族を軽蔑し、より一層勉学に励む。
元より一匹狼の嫌いがあるシフターだが、その中でもリクが浮いてしまうのは必然だろう。

エルフ族といるのは心地が良かった。
自分を酷く子ども扱いしてくることだけ最後まで好きになれなかったが、生きていくための術の多くはここで学んだ。

そんな森が、ある時ドラゴンに襲われた。

こんな子供と老人ばかりの集落でなければ、抗うことができたのかもしれない。その牙や爪をもう少しでも戦いに使えていれば、ここまで甚大な被害には及ばなかったのかもしれない。

リクがいつものように森の奥から帰ってきたとき、集落は壊滅状態だった。

後に分かったことだが、ドラゴンはとある探し物をして集落を襲った。産む必要のない被害だったのだ。

……なぜ、“後になって分かった”か。

集落にたった一人、竜語を理解できる少年がいたからだった。

リクの必死の説得により、ドラゴンは帰っていった。

民たちは今までの態度を忘れたように手の平を返し、リクを褒め称えた。「やはり学がある者は違う」「前からやる男だと思っていた」と。

そんな民衆が気持ち悪くて仕方なかった。

エルフたちは、森からいなくなった。

ドラゴンに襲われたのか、危険を察して逃げていったのかは分からない。

学び場と大切な友人を失くしたリクは、集落を離れることにした。

向かった先はウォーターディープ。大きい都市だった、ただそれだけの理由だ。

途中、ストームレック島の噂を耳に挟む。

竜か。因縁深い相手だ。

恨みはしていない。だが、もっとそれについて知りたい。この知識欲を満たしたい。

リクの次の目的地が決まった。